2010年08月08日

直木賞受賞・野坂昭如の大衆文学『火垂るの墓』感想

‘蛍の墓’と間違われますが‘火垂る(ホタルの墓’です。
アニメ制作会社スタジオジブリによる『アニメ映画 火垂るの墓』も有名な作品。
娯楽文芸系の直木賞受賞作品ながら、テーマは戦争・反戦になります。

(但し作中、明確に反戦を訴えているシーンはありません。
 あくまで容赦のない現実の残酷さを見せ付けることに帰結しています。)

あらすじは、
終戦間近の神戸に突然B29の大編隊が襲いかかった。
清太と節子の兄妹は空襲の混乱の中、母親を亡くし、家を焼け出される。
路頭に迷った兄妹はやむなく小母の家へ身を寄せることにするが、
そこでも生活が苦しくなるに従って小母とのいさかいが絶えなくなり、清太は家を出る決心をする。
荷物をリヤカーに積み込み、横穴壕でままごとのような二人の新しい生活が始まるが、やがて食糧も尽き…。

アニメ映画版のキャッチコピーは、4歳と14歳で、生きようと思った

感想としては、文章の特異さがとにかく目につきます。
改行・句読点が少なく短編ながらページ数以上の厚みを感じさせる出来になっています。

比較として、アニメ映画は原作に沿ってほぼ忠実に作られています。
しかし数箇所、監督により変更・加筆されているシーンもあり印象的なところとしては、
劇中、重要なキーとして登場する『サクマ式ドロップス』ですが原作では話に絡みません。
節子の遺骨をドロップ缶に納めて身に付けていたという説明が始めにあるだけです。

節子の名シーン‘ドロップとおはじきの件’は、アニメオリジナルの設定になります。
あのシーンで違和感無く感動された方は、高畑勲監督の術中に嵌まったということですね。
(原作者の野坂昭如をして「いや、アニメ、恐るべしですね」と言わしめました。
 こちらはDVDの特典映像にも収録されています。)

余談ですがアニメ映画は、封切り前の広告代理店などマスコミ関係者への説明で 
「ルネ・クレマン監督の映画『禁じられた遊び』の様な作品です」
と販促宣伝した、とスタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫が著書『映画道楽』で述べています。

私的には、この作品が好きな方は映画『風が吹くとき』も好まれるのではないかと思います。

人気を受けて、のちに小母をメインにした『実写ドラマ版』『実写映画版』が公開されました。


アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)

アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)

  • 作者: 野坂 昭如
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1972/01
  • メディア: 文庫




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posted by 七草〔図書館戦争、面白い〕 at 11:34| ライトノベル書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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